世界デフレは三度来る 下 (講談社BIZ)



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世界デフレは三度来る 下 (講談社BIZ)
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大部であることが全く苦にならない。

とにかく面白い。下巻になり、白黒からカラーになったようなタッチの変化があり、重厚感は薄れたような気がしたが、橋本龍太郎や宮沢喜一の右往左往は、リアルタイムでは、まったく認識できなかっただけに、強い印象が残った。まるで、コメディである。
それにしても、上巻でみた、高橋是清の骨太の指導力と比較して、現代の政治家の線の細さは、何とかならないのだろうか。
ただ、回復に長い時間はかかったが、高橋是清後には、太平洋戦争が待っていたが、宮沢喜一後にその予兆ない。平和は、維持されている。それでよしと考えたい。
歴史ロマンは現在につながった

上巻では、歴史物語としておもしろかった。下巻では、これが現在の経済活動につながってくる過程が示される。
グリーンスパンをカバーにした下巻は、宮沢、三重野の回想録から始まる。
二人は、失われた十年の中で、能力は認められながらも、反面教師としての役回りである。

日本は、ドッジライン、所得倍増論、為替変動相場制、列島改造論、狂乱物価、バブル崩壊、デフレ突入、と様々な経済変動を体験する。そこでの金融、政治に関わった人達の賞賛と批判が、当時の証言を基に、筆者の意見として曖昧さを排除して語れる。これは、痛快であるとともに、経済の舵取りには、専門性、慧眼、そして何より毅然とした実行力が必要とされることを思い知らされた。

対比として、米国における舵取りは、ニクソンショック、FOMCの独立性の確保、グリーンスパン役割発揮など、その機能発揮までの道のりが比較的的好意的な口調で記されていく。たぶんこれは、日本のバブル崩壊に対する取り組み方が、あまりに情けなく、筆者の忸怩たる思いを反映した結果であろう。

振り返れば、バブル崩壊の時には、確かに、有効な経済政策を模索すると言うよりは、その責任を地価高騰や、銀行、証券会社の責任とし、それを懲らしめれば、経済は良くなる的な単細胞的発想が横行していたのは確かである。このような、大衆受けする内容と、経済を適正にするというプロセスは峻別さるべきであり、かつ、その施策の意味を的確に説明していくことが、日銀を含めた財政担当者に求められることを筆者は切々と訴える。

本書は、経済史が、どのような道筋を通って、現在につながって来たのかを見事に描ききってくれた。上巻の序によれば、3度目の世界デフレは未遂に終わりそうであるとのことである。それは喜ばしいことであるが、政策機構が過去の教訓を真摯に受け止め、その決定プロセスを見直し、より効果的に機能していくことを期待する。
ああ宮澤喜一

 上巻につづいて、持つのも読むのも大変なボリュームの本ですが、まったく飽きがこず、一気に読めます。まさに大河小説です。
 さて、大河小説たる本巻の主人公は表紙の写真の通り、グリーンスパンであるし、これは上巻の表紙の高橋是清とパラレルになっている趣向です。しかし、実は裏の主人公は宮澤喜一であることが読めばわかるようになっています。
 ずばり、宮澤喜一はバブルから「失われた10年」にいたるこの大事な局面でどうして、「昭和恐慌」における高橋是清になれなかったのか?あるいは、グリーンスパンとどこが違うのかが、下巻のテーマとなっていると思います。
 経済的センスにおいてはまったく遜色のない彼が(それが証拠にアジア経済危機に関してはIMFはだめだめで、彼の決断によって乗り切ったことが書かれています。)どうして、こんなことになってしまったのかが、彼個人に足りなかった資質=政治家としての能力(辛辣に批判されています。)と、それにもまして、海外の危機救済はOKなのに、国内の銀行救済は許さなかった日本というシステムの問題が指摘され、この本が深い問題を提起するものとなっています。



講談社
世界デフレは三度来る 上 (講談社BIZ)
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